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翻訳者インタビュー

P.Bさん

インペリアル・カレッジ・ロンドン卒
物理学部

専門分野は物理学全般、宇宙工学、数学など。
日本の電機メーカーで技術者として7年勤め、その後も英語教師として日本でキャリアを積む。日本語や中国語、スペイン語などに堪能。

P.Bさん

まずは、専門分野を教えてください。

ロンドン大学のインペリアル・カレッジの物理学部を卒業後、イギリスの航空機会社で5年間、人口衛星のアンテナ設計及び付属ソフトの開発に従事しました。その後ヘッドハンティングされ、日本の横浜にある電機メーカーの宇宙開発部に勤務しました。そこでの7年間は、ビジネスのすべての場面で日本語を使用していましたので、ネイティブレベルであると自負しています。以上の経歴により、物理学全般、人工衛星などの宇宙工学、コンピュータープログラミング、数学などが私の専門領域です。これに加え、電子工学、環境工学に関しても、論文や書籍、マニュアルなどの翻訳経験があります。

どうして翻訳者になろうと思ったのですか?

15年の日本在住経験がありますので、そこでの経験や習得した語学レベルが、翻訳者として生かせると考えました。有名自動車メーカーや高校などで、英語教師として5年以上教えていた経験も、それを後押ししてくれました。また私はもともと技術者でしたので、専門分野の論文は読み慣れています。これまで培ったバイリンガルとしてのスキルと、学術論文に関する素養の両方を生かすのに、学術論文専門の翻訳者はうってつけだと思ったのです。
翻訳者となった今、まだ発表されていない新しい技術や製品に関しての論文を翻訳する時は、自分が最初の読者で、まだ世間が知らない情報を自分は知っているのだ、とワクワクしながら取り組んでいます。

翻訳スキルをどのように磨いていますか?

実際の論文を読んでみたり、長くて複雑な文書を読んでみたりして、言い回しや単語のバリエーションを学んだり、文章の読解力を深める練習をしています。時間がある時には、仕事中にメモとして取った単語の意味を調べたりして復習しています。
また、インターネットも活用しています。私の手掛ける翻訳案件は学術論文がほとんどなので、常に新しい研究成果や情報を得る必要があります。その情報を手に入れるツールとして、インターネットがとても役に立っています。論文を読むうちに分からない単語、知らない情報などが出てきたら、まずインターネットで検索をしています。

いままで翻訳してきたなかで一番印象に残っている案件はなんですか?

非常に高度なレベルの数学論文群を翻訳した時の経験が印象に残っています。内容が難解だったため、翻訳自体も骨が折れたのですが、中でもとくに苦労したのは図像の編集・調整作業でした。図像が論文に添付されていたのですが、印刷の関係上潰れてしまっていて、解読するのが難しい状態でした。そのため、自身の専用ソフトウェアを用いて解読し、図像に書き込まれていた方程式を自分で一から書き直すという作業を行いました。翻訳期限も迫っており、それも含めてとても厳しいタスクでした。無事納入出来た時には胸をなでおろしたものです。今振り返れば、それまでにない清々しい達成感を味わえましたし、数学的な知識も身に着けられ、とても良い学習体験になったと感じています。

どのような翻訳者になりたいと思いますか?

十分な専門知識を持ち、執筆者が論文で展開している理論を真から理解できる翻訳者でありたいと思います。執筆者は、論文の理論を矛盾のないように読者達に伝えたいと願っているので、翻訳者はその願いを叶える代弁者であるべきだと考えます。ですので、ただ日本語が読めるだけでは翻訳者として不十分です。長い経験から得た知識と専門領域に対する深い理解があってこそ、執筆者にもっとも喜ばれる論文翻訳の実現につながると信じ、日々知識を深める努力をしています。

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