M.Iさん |
小児科、歯科口腔外科、内科、外科、循環器科、産婦人科、呼吸器科、スポーツ医学、腫瘍科などの医学一般を専門分野として活動しています。医療翻訳分野は半年程前から翻訳チェックと電話の医療通訳も始め、より語彙や表現が豊富になってきました。また7月から教育に関する分野の翻訳も始めましたので、こちらの方にも積極的に携わっていきたいと考えています。
一般の日本人と同じく中学生から英語の勉強を始め、日本の短期大学の卒業を期に、アメリカのワシントン州の大学に編入しました。卒業後、オレゴン州にある大学院へ進み、そこで教育学を学びました。短大卒業後という比較的遅い時期から英語を本格的に使用し始めたため、当初はネイティブとの意思疎通がなかなか難しく、苦労もしました。ですが、今ではネイティブ並みになれたのも、ひとえに英語の学習が楽しかったからです。学習をするうちに、ネイティブの話している内容が理解できた瞬間や、自分の伝えたいことが伝えられた瞬間が徐々に増え、その瞬間を何よりのやりがいとして、ここまでやってきました。そうした英語での苦労を自分も知っているからこそ、英語が不得手で苦労している人のお手伝いをしていきたい、自身の得た知識や語彙を役立てていきたいと考えたのです。翻訳者という仕事は、そうした私の希望に合致するものでした。
今携わっているチェッカーの仕事は、日本語の原文と英語の翻訳文とを比べて、細かなニュアンスなどをチェックする大事な仕事です。私の第一言語である日本語と第二言語である英語の知識と経験を行かせる、とてもやりがいのある仕事です。
インターネットで、日本や海外での医療関係の研究や発見について読むようにしています。また、すでに翻訳されたものを積極的に読み、インターネットや文献を使って調べてその翻訳のミスを見つけたり、直したりもします。すると文章の読解力や理解力、語彙力が鍛えられ、とても良い練習になっています。
一つ一つの案件が、自分にとってはユニークで興味深いものです。翻訳をすることで、最新の研究成果を一早く、発表される前に目を通すことができるのには、少しだけ優越感のようなものを感じます。また、身近な人たちが抱えている病気、例えば、糖尿病や乳がんについての論文の翻訳だと、他人事と思えず、より熱心に翻訳に打ち込める気がします。
日本語と英語、そして双方の文化的背景を理解した上で、微妙なニュアンスや言い回しなどを汲み取り、正確に伝えられる翻訳者になりたいと思います。 ただ文章を訳すだけの翻訳は、機械にもできるでしょう。ですが、研究者が伝えたいことをもっとも効果的に伝えられる表現や、読者をより納得させられるような論理立ては、翻訳者が頭を悩ませ、慎重に言葉を選んで作り上げた翻訳にこそ備わるものだと思います。翻訳やチェッカーの仕事というのは、血の通った人間にこそできる、大事な役割だと考えています。