20万語以上の英日翻訳を約1ヶ月という短納期かつ高品質に仕上げ、
世界的なベストセラー「ギネス世界記録2012」の日本語版出版に貢献
年に一度発行される世界一を収集した『ギネス世界記録』は、日本でも老若男女問わず幅広い世代に親しまれているベストセラー書籍。イギリスで出版された英語版『ギネス世界記録2012』の日本語版出版にあたり、翻訳ユレイタスが英日翻訳を担当させていただきました。本案件において、お客様の最優先事項は「スピード」。ギネスブックは速報性が重視されるため、英語版の出版後に一日でも早く日本語版を出版することが求められていました。通常、20万語以上あるギネスブックを一人の翻訳者が担当すると、早くても一年以上かかってしまう作業量ですが、翻訳ユレイタスに与えられた期間は約1ヶ月。お客様からは「翻訳者の人数は問わないが、担当者によって用語や表現のバラつきがないように」とのご要望をいただいており、質の高い翻訳者の確保と各翻訳者に対する表現のコントロールが求められていました。また、スピードと同様に重視されたのは「数字の正確性」。世界一を証明する各記録の数字が間違っていると書籍としての信頼問題に大きく影響を与えかねません。20万語以上の英日翻訳を約1ヶ月という短納期で仕上げながら、「数字の正確性」と「書籍としての読みやすさ」を両立する。この課題に対し、翻訳ユレイタスではプロジェクトマネージャーを中心に翻訳チーム、カスタマーサポートが一体となって取り組みました。
約1ヶ月という納期に向け、翻訳ユレイタスでは優秀な翻訳者の確保にいち早く着手しました。ギネスブックは多種多様な世界一が混在する書籍のため、対象分野も科学、宇宙、文化、工学……と多岐にわたります。それぞれの分野で深い知識と経験を持つ翻訳者の中でも、英日翻訳を得意とする日本語ネイティブかつ、書籍として読みやすい文章力のある人材を大量に確保するのは至難の業。1,117の取り扱い分野と約500人の翻訳者を抱える翻訳ユレイタスでは、まず候補者として30人を選定。各人に対して翻訳テストを行い、上位14名を選出しました。14名が各分野を分担して作業に取り掛かることで約1ヶ月という納期を厳守。各専門分野を網羅し、質の高い翻訳者を大量に抱えているからこそ、大量翻訳のスピード納品にも対応できるのです。
もちろん、スピードだけでなく質の高さも追求するのが翻訳ユレイタス。14名の翻訳者が作業するとなると、単語や文末一つとっても各翻訳者によって表現方法や用語の選定が異なることが想定されます。本案件では、プロジェクトマネージャーが統一の用語リストを作成し翻訳者全員に配布、翻訳時にはそのリストに忠実に準拠しました。作業中も翻訳者からの質問に応じて用語をリストに追加するなど、タイムリーな対応で全員の共通認識を徹底。また、翻訳工程終了後のクロスチェックでは、14名の翻訳者に別の翻訳者が翻訳した日本語原稿を渡し、お互いの表現方法を確認させました。ただ翻訳者を集めて翻訳作業をお願いするだけではなく、プロジェクトマネージャーを中心としたチームプレーを構築したことで、全体的に一貫性のある一冊の書籍に仕上がりました。
ギネスブックという性質上、多様な単位の数字が頻出します。英語の単位の表し方は日本語とは異なり、経験を積んだ翻訳者でも即座に答えるのが難しいもの。特に「Thousand(千)」「Million(百万)」「Billion(十億)」「Trillion(兆)」など単位の大きい数字が多いギネスブックは、翻訳者泣かせの書籍ともいえるのです。翻訳ユレイタスでは数字のミスを防ぐため、クロスチェックの段階で数字の校正を厳重にお願いしました。さらに万全を期すため、校正刷りの段階でも各翻訳者による校正を提案。プロジェクトマネージャーが各翻訳者に校正刷りを郵送し、数字の間違いを徹底的に排除しました。限られた納期の中でも妥協せず、各段階で幾度にもわたる厳重チェックを行った結果、速度と品質の両面において満足度の高い原稿を納品でき、日本中で愛される書籍の出版に貢献できました。
「14名の翻訳者と一丸となって品質向上に努めたことが、お客様からの高い評価に繋がりました。多くの人に愛される書籍に携われたことは大変光栄に思います。」
本案件では、プロジェクトマネージャーはどのような役割として機能していましたか?
各翻訳者を繋ぐハブの役割を担っていました。今回は多くの翻訳者が関わるため、表現の統一をこちらで管理する必要がありました。例えば、「Km」の翻訳でも「キロメートル」や「キロ」など、人によって翻訳の表現は異なります。本案件では初めに想定される用語リストをこちらで策定し共有しましたが、作業を進める過程でも随時用語は増えていきましたね。そのたびに、翻訳者全員にガイドラインを共有し常に全員の共通認識を統一するように努めました。また、数字のミスもあってはならないので、翻訳者の方に厳重にチェックをお願いするとともに、自ら確認しました。
ギネスブックで数字のミスは許されないですからね。チェックの際に気をつけていたことは?
20万語以上の英日翻訳を約1ヶ月で納品するというタイトな納期の中で、さまざまな単位が入り組むギネスブックの数字を正確に翻訳するためには、数字一つ一つを丹念にチェックする以外にありません。気の遠くなるような作業ですが、こういった地道な作業の積み重ねこそが品質向上に繋がっているのです。実際、初校では数字のミスが見つかることもあり、最終的に校正刷りの段階までチェックを行ったことで、ミスのない完璧な原稿に仕上がりました。
お客様からはどんな評価をいただきましたか。
お客様からは、納期・品質共に高い評価をいただくことができました。本案件では、膨大な量の索引ページを日本語に翻訳し、ページ番号をあいうえお順に並べ直してほしいというご要望もいただいておりました。実はこれが予想以上に大変で。例えば英語で「Olympic」は、日本語に翻訳すると「オリンピック」にもなるし「五輪」にもなる。その単語が本編の中ではどのように訳されているかを調べ、もし別々の表現があれば直さなくてはなりません。それを20万語すべてに対応させるのは至難の業でしたね。そのような想定外の事態にも迅速に対応し、納期内にご要望どおりの原稿を仕上げたことは私たちにとっても大きな自信に繋がりました。『ギネス世界記録』は日本中でも多くの人に愛されている書籍であり、出版に貢献できたことは大変光栄に思います。