顧客の依頼から納品までを一元管理する「工程管理システム」を開発、
突発的に発生する膨大なCIOMSの日英翻訳を24時間以内に納品
日本全国の病院やMRからFAXで送られてくる副作用調査票を、日本本社からグローバルに日英翻訳して送りたい。世界的に有名な外資系製薬会社からいただいたご要望の難しさは、その膨大な量とタイトな納期にありました。1日に少なくて30件、多いときには70件発生する大量の副作用調査票を、すべて確実に24時間以内に納品する。副作用の調査票は突発的に発生するものであり、しかも人の命に関わる重大な情報です。翻訳ユレイタスでは24時間体制のぬかりない対応が求められました。さらに、副作用の調査票は初報、第2報、第3報と時を追って新たな報告が上げられますが、第2報以降の続報に関しては、翻訳が必要なのは前報から追記された差分のみ。毎日発生する膨大な調査票の初報・続報を判別し、続報の場合には該当の前報を探し出し、新報と照らし合わせて差分のみを抽出する。考えただけでも気の遠くなるような作業に対し、いかに効率的でスムーズな納品プロセスを構築するか。翻訳ユレイタスは、すべてを人力に頼っていてはご要望にお応えできないと考えました。
突発的に発生する副作用調査票の日英翻訳をすべて24時間以内に納品するためには、いつでも作業可能な翻訳者を確保しておくことが必要です。翻訳ユレイタスは、世界中に約500人の翻訳者、500人の英文校正者を抱える巨大な組織力を持った翻訳会社のため、優秀な翻訳者・校正者の大量確保が可能。本案件では、医薬・薬学分野に精通した中核となる翻訳者を約25人、バックアップ翻訳者も多数確保し、突発的な翻訳にいつでも対応できる体制を構築しました。もしお客様が自社で翻訳者を抱える場合、確保できる人数には限りがあり、流動的な案件数に対して安定供給を保つことはなかなか困難です。その点、翻訳ユレイタスにご依頼いただければ、案件数に応じて柔軟に翻訳者の人数を調節し、お客様の望む納期を厳守。料金も案件が発生した分のみで済むので、コストを抑えられる点がメリットとして挙げられます。
朝から晩まで1日中発生する日英翻訳を、いかに効率的に24時間以内に仕上げるか。この課題に対し、翻訳ユレイタスは「手配プロセスの簡略化」と「作業の見える化」に着目しました。通常の手配プロセスでは、お客様からカスタマーサポートにご依頼いただき、手配部門が翻訳者を手配し翻訳作業に入ります。本案件では、お客様と手配部門、翻訳者を繋ぐ「工程管理システム」を独自に開発。お客様が原稿を直接システム上にアップでき、その時に作業できる翻訳者がすぐに取り組めるため、大幅な時間の短縮が可能となりました。プロジェクトマネージャーはシステム上で各案件の進捗状況を随時確認し、必要に応じて直接翻訳者に指示をするなど全体の進捗管理を担当。前報と新報の差分の翻訳についても、管理部と翻訳者のダブルチェック体制で対応しました。また、お客様様専用のマイページも設置し、進捗状況をリアルタイムで確認できるようにしたことで円滑なコミュニケーションが可能に。「工程管理システム」を活用したスムーズな納品プロセスを構築したことで、頻繁に発生する翻訳案件を安定的かつスピーディに処理することができたのです。
スピードと共に、品質の追求も怠らないのが翻訳ユレイタス。本案件では、お客様から膨大な量の薬剤名リストをいただき、リストに準じた用語の正確な使用が求められていました。翻訳ユレイタスでは、翻訳者とネイティブチェッカーのダブルチェック体制で校正を実施。また、さらなる質向上のため、毎週お客様の元で品質向上検討会を開催することを提案させていただきました。営業がお客様の元にお伺いし、翻訳原稿に対していただいたご要望やご意見をプロジェクトマネージャーにフィードバック。プロジェクトマネージャーはその内容を元に、翻訳者への指示やプロセスの改定を行いました。常に「改善」の意識を持ち、お客様のご要望・ご期待に最大限お応えすること。それが、翻訳ユレイタスならではの短納期・高品質に繋がるのです。
「品質向上には、チーム全員の高い意識が重要。“スピードと品質の両立”を常に念頭に置いて進行管理を行いました」
本案件で最も難しかったことは何でしたか。
ご要望の納期に確実に間に合わせること、そして多くの翻訳者を管理することが一番の課題でした。本案件では、プロジェクトマネージャー、アシスタントプロジェクトマネージャー、プロジェクトコーディネーターによる専門チームを編成。万全の体制を整え、フル回転で進行管理を行うことでタイトな納期の中でも最大限のパフォーマンスを発揮できました。
医薬分野の翻訳者を手配するために重視したポイントを教えてください。
最も重要なのは、十分な医薬分野の専門知識を持ち、かつ医薬関係の文書を扱うための知識を持っていることです。本案件の場合では、「医薬翻訳の経験、とくに副作用情報を扱うための的確な資格と経験」を選定ポイントとして質の高い翻訳者を厳選しました。
進行管理役として、翻訳者を束ねる際には何を最も重要と考えていましたか。
1日に30件~70件という大量の案件が発生する中で、いかに翻訳者とプロジェクトチームが高い意識を維持し、一つひとつの案件を丁寧に仕上げるか。どの案件に対しても、常に「スピードと品質の両立」を全員の共通認識として持たせるように心がけました。また、多くの翻訳者やチェッカーをまとめるためには、各人との綿密な連携が必要です。工程管理システムのみに頼らず、インターネット電話やE メールなどあらゆるメディアを活用し、翻訳者からの要求にタイムリーに応えることでシームレスなコミュニケーションを築くことができました。
翻訳者に翻訳をお願いするだけではなく、チームプレーの構築が大切なんですね。本案件を経験して他に学んだことはありますか。
進行管理には粘り強さと隅々まで気を配る集中力が重要なことを学びました。翻訳者だけでなく、プロジェクトマネージャーをはじめチーム全体が「お客様のご要望に対し、高いレベルで応える」という強い意識を持ち続けること。その意識が品質に反映し、お客様からの高い評価に繋がることを実感しました。