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私が大学を受験したのは、ちょうど東大入試が学園闘争で中止された年で、まさに団塊世代のまっただなか。普通に受験英語を勉強して、一橋大学に入りました。大学で感じたのは、自分は受験英語しか知らないということ。当時18歳くらいというのは、世界を舞台に活躍できるようになりたいと思いますよね? それで大学と並行して英会話の学校に通い始めました。ちょうど学園紛争で大学がほとんど機能しない時期でもありましたので、英会話学校で英語を勉強しました。 よく思い出すのは、ある日、英語の先生がコーラの空き缶を持ってきて、ぽっとひっくり返すんです。で、「何も出ない」と言う。何も出ないということは、中に何もないからだと。あなたたちが英語をしゃべれないのは、あなたたちの中に英語が入ってないからだと。その先生は、有名なスピーチの暗唱をやれとすすめていました。今にして思えばよくあんなことできたなと思いますけれど、キング牧師の“I have a dream"とか、ケネディの大統領就任演説とか。ケネディのスピーチなんて20~30分あるでしょ。あれを全部覚えましたね。英文の復唱というのは、初期の訓練方法として効果があるのかなと思います。 |
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29歳のころ、ハーバート大学の国際問題研究所に客員研究員として行きました。一応、英語の勉強はしていったつもりでしたけれど、本当に英語が全然通じなくてね。英語の壁を痛切に感じました。自分でやれるだろうかという不安がすごくありました。たぶん、留学を経験された皆さんが全員感じることだと思いますけれど、最初はもう大変ですよ。最初の半年ぐらい、誰もが大変。どんなにTOEFLで優秀な成績を収めていようが、ネイティブの間に混じって対等にやるというのは、大変なことですよ。 ハーバード大のあるボストンに到着して1週間ほど過ぎたころの話です。まだ英語が十分に通じなくて悶々としていたころでした。ボストンマラソンがあったんです。瀬古選手が優勝したマラソンが、このとき私が見た1981年のボストンマラソンです。瀬古は前評判が高かったけれど、強力なライバルも大勢いて、混戦模様でした。で、誰が一番最初に来るだろうとゴール間近で待ってるときに、白地のユニフォームに赤い日の丸がぱっと見えたわけですよ。英語が通じなくて苦しくて、でもその中で、外国で頑張っている日本人を見て、それはものすごくうれしくて、自分も頑張らなければいけないと強く思ったのを覚えています。勇気をもらった。励みになりましたね。 |
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初めて書いた英語論文については記憶があいまいですが、ハーバード時代、日本とアメリカの設備投資の比較について論じた英文ペーパーが初期のものではないでしょうか。もちろん苦労しました。なかなか書き始められない、書き始めるとすごく長くなる。これが一番苦労した点です。要するに、頭の中に書くべきコンテンツが整理されていないから、最初はなかなかページが進まない。そして適切な表現が見つからないから、途中からはどんどん長く冗長になり、ページが増えすぎて困る。同僚に添削をお願いしました。やはりネイティブチェックを受けないと。私は今でも冠詞がわからない。外国語として英語を勉強した人間の明らかに限界です。これは致し方ないですね。そこはもう、堂々とチェックしてもらえばいいと私は思います。 私は今でも英語の壁を感じますよ。そりゃ毎日感じます。先々週はダボス会議に出席するためにジュネーブに行きました。これはすごい人たちの集まりで、前イギリス首相のブレア氏、元メキシコ大統領のセディージョー氏、ドイツ銀行の総裁…そういう人たちばかりの会議です。東洋人は私と香港の人だけ。そういった中で議論するのは本当に難しい。しかし主張できないと日本の存在感が示せないわけです。とくに大臣としてダボス会議に出たときなど、自分の英語力というよりも日本のプレゼンスを背負っているっていう思いがありましたから、それはプレッシャーでしたね。 私は学生にもよく言うんです。学会や国際会議では「真っ先に質問しろ」と。つまり、議論の流れが他の人たちによって作られると、そこに割って入るのは難しい。だから、最初に自分の土俵で議論をするように持って行くのが一つの工夫だよと。英語のネイティブスピーカーどうしが議論しているときは、逃げたくなる気持ちを抑えて、「近くに行け」と。近くに行ったら「肌で聞け」。耳で聞くんじゃなくて、肌で聞け! そしてもう一つ、スピークアウトするというのが重要です。日本のスマートな話し方というのは、ちょっと気の利いた一言、つまり「点」をぽんと提示して、聞き手に雰囲気を感じ取ってもらうというやり方ですが、英語は違います。スピークアウトして二度でも三度でも何度でも言い直して、丁寧に徹して、「線」を追って説明し尽くすという、その厚かましさが重要ですよね。この手の厚かましさというのは、日本人にとても弱い部分です。 グローバル時代を日本人が生きていくには? 私たちに英語の壁があるのは仕方ない。でもそこは「向かっていく精神」を持つしかないと思います。聞いていてわからないことがあれば、臆せず何度でも聞き直す。遠慮なくスピークアウトする。そういうことをずっと続けなければいけない。だから私はよく「向かって行け」ということを学生に言います。 |
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