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ぼくは、ここ大阪大学の博士課程に在籍していたときに、自分以外が皆外国人だったんですよ。最初の共同研究者がフランス人、その次がアメリカ人。だから英語でしゃべらないとだめだったんです、最初から。そこで、「反射的に英語を出す」トレーニングをせざるを得ませんでした。 当時ぼくは大阪空港のそばに住んでいて、徒歩で20分ぐらいの帰り道に、見るものすべてを英語でしゃべるという練習を延々としていました。夜中の1時とか2時に、「あ、信号だ」とかなんとか、暗い中でずっとつぶやくわけです。そうすると、ブツブツ言う、おかしな学生が歩いてくるというので、空港周辺で要人警護の警官に職務質問されたことが2、3回あります。ちなみに、その頃のぼくの英語は完全にフランス語訛りでした。 意志が強いと言われますが、それをやらないと博士号が取得できないんですよ。博士号が取れなかったら死ぬぐらいの覚悟がぼくにはあったので、英語も練習しました。言葉なんていうのは、そういうものじゃないですか。生き抜くためにあるようなものです。 |
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1998年から1年間のアメリカ滞在で、ぼくのフランス語訛りの英語がアメリカ英語に修正されたという感じです。共同研究者によって訛りが変わるのがおもしろかったですね。担当教授はインド訛りが強く、最初は言っていることが7割ほどしかわかりませんでしたが、3カ月ぐらいで慣れました。3カ月目で英語の夢も見るようになりました。 あるとき、出来の悪い学生を叱る場面で、ある「発見」をしました。感情的になるというのは、考える間もなく瞬時に言葉にしなければならないので、それが良い言語のトレーニングになるということです。帰国後、教授になったぼくは、日常的に英語を使う毎日を過ごしました。というのも、一緒に働いた外国人スタッフが、英語しか話さなかったのです。そして、時にはその外国人スタッフを怒らなければならない場面があるわけで、大人を怒るというのは難しくて相当気を遣いました。学生を怒るのとはレベルが違います。より感情を言葉に乗せて、本気で、もっと怒るわけです。ロジカルに説明しつつも感情を乗せないと、相手に怒っているということが伝わりません。「わたしはほんとに怒っている、なにに対して怒っている」というのを英語できちんと伝えるには、訓練が必要です。 ぼくはもともと怒れないタイプでしたが、あえて「感情を乗せて怒る」という訓練をしました。学生を怒るときに、とりあえず教壇を蹴飛ばして部屋を出てみたら自分でも高揚したので、「お、これが怒るってことなのか」と。学生がへらへらした発表をしたときに「ちょっと待て」と言うと、静かになって気まずくなり、さらに「どういうことや」「なんで笑っとるんや」と言ってしばらく間をおくと、さらに空気が張り詰めて緊張感と高揚感が出てくるわけです。「あ、なるほどこれが怒るということで、怒られるということなんだな」と気づきました。 死ぬほど怖いと言われますよ、計算ずくでこちらは怒ってますから。 |
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1963年、滋賀県生まれ。大阪大学大学院基礎工学研究科博士課程修了。工学博士。1998年〜99年、カリフォルニア大学サンディエゴ校客員研究員。現在、大阪大学大学院基礎工学研究科システム創成専攻教授、ATR石黒浩特別研究所客員所長。知能ロボットと知覚情報基盤の共同開発を行う。アンドロイド(人間酷似型ロボット)研究の第一人者であり、ロボットの究極のデザインを求めて「人間とは何か」を探求。2014年10月には自身と自身のコピーロボットであるジェミノイドの写真がScience誌の表紙を飾ったほか、「米朝アンドロイド」や「マツコロイド」で広く一般の注目を集める。著書に『アンドロイドサイエンス』(毎日コミュニケーションズ)、『ロボットとは何か』(講談社現代新書)、『ロボットは涙を流すか』(PHPサイエンスワールド新書)、『どうすれば「人」を創れるか』(新潮社)など。 |