この案件を成功させる鍵となったのは、正しい方針に基づいた専門的なプロジェクトマネジメントです。“すべての国際音声記号とビルマ文字・チベット文字が訳文内に正しく配置されるように全原稿を英訳する”というお客様のご希望に応えるためには、能力の高い翻訳者との綿密な連携が必要でした。プロジェクトチームにより国際音声記号と文字を起こすことで、お客様への負担を減らし、満足していただけました。ヒル博士はこの分野では著名な研究者であり、日本語・中国語の原論文もご自身で読まれています。そのヒル博士にご満足いただける翻訳を提供できたこと、また学術的に意義の高い著書の出版に貢献できたことを誇りに思います。
ロンドン大学アジア・アフリカ研究学院准教授のネイサン・ヒル博士 (Dr. Nathan W. Hill) は、チベット語社会言語学およびチベット文化研究において国際的に著名な研究者です。ヒル博士は、ユレイタスが過去に英訳を手がけた論文の質の高さを見て、日本語論文と中国語論文の英訳を依頼されました。その論文は、出版を計画している研究書において重要な意味を持っており、日本語・中国語・ビルマ語・チベット語、そして国際音声記号という多様な言語が含まれていました。ヒル博士からいただいた翻訳者の条件は、言語学・国際音声記号に詳しく、日本語・中国語の翻訳経験を有し、ビルマ文字とチベット文字について知識のある翻訳者、という大変難しいものでした。
私の研究において、チベット諸語における証拠性の体系に関する本があれば役に立つだろうと考えていました。それには、何本かの日本語論文を英訳する必要がありました。はじめは自分で翻訳しようと思っていたのですが、日本での生活を終えてからすでに数年が経っており、時間と効率を考えて翻訳会社への依頼へと踏み切りました。ユレイタスについては、知人が書いた日本語論文の英訳を読んだことがあり、その品質の高さに感心しておりました。私の場合もきっと完成度高く仕上げてくれると感じ、ユレイタスに問い合わせたのです。
他の翻訳会社二社にも連絡し見積もりを依頼したところ、一社からは内容が専門的すぎるとのことで断られました。もう一社からは、日本語は翻訳できるが、文中の国際音声記号とビルマ文字・チベット文字は「□」記号になるという返事がありました。これでは私が翻訳後に追加で作業をしなければなりません。翻訳ユレイタスからは、国際音声記号やビルマ文字・チベット文字を含む訳文にできるとの返事をいただきました。翻訳料金も予算内で翻訳の水準にも期待できたため、翻訳ユレイタスを選ぶのはごく自然なことでした。
大満足で、ぜひまた翻訳をお願いしたいと思っています。見積もりの過程で、こちらが翻訳会社を比較検討していた際には、非常に柔軟に要望に応えていただきました。仕上がってきた翻訳の質は高く、正直私が翻訳してもこれ以上は望めません。私は日本語ができますし言語学者でもありますが、その私が翻訳したとしてもこれ以上の質は望めないと感じています。
現在は、原稿全体を用意しつつある段階です。ユレイタスが日本語・中国語から翻訳した論文については、原論文の出版元の許可を得る必要があります。また、新しく執筆された多くの論文については、現在査読中です。以上を済ませてから、全論文を出版社に送ります。2016年の春には原稿を完成させ、2017年の春までには書籍として出版できればと思っています。翻訳を高品質で仕上げられたのは重要な一歩で、書籍化に向けて大幅に時間と労力を短縮できました。ユレイタスの翻訳は、評価に値するもので、ぜひ脚注に謝辞を入れたいと考えています。