「研究倫理と出版倫理が重要な理由」
Transcription :
[00:00 – 00:29]
こんにちは。ユレイタス学術出版オンラインセミナー 第2回です。
今回のテーマは「研究倫理と出版倫理が重要な理由」です。
このテーマについて、「なぜ研究倫理が重要なのか」「よくある研究倫理違反」
「倫理違反への対処法」という3つの側面からお話しさせていただきます。
[00:29 – 01:26]
まず、「なぜ研究倫理が重要なのか」という点です。出版倫理委員会、CoPEでは、学術研究および出版に関する明確な倫理規範を制定し、研究と論文発表の過程で研究者が従うべき学術的・倫理的ガイドラインの指針を示しています。これを遵守することで、その研究と研究論文は、高い倫理基準を満たした信頼に足るものとなり、研究者としてのキャリアも守られます。出版倫理委員会のガイドラインに従えば、誰かの指導を受けなくても、研究者としての正しい行い、質の高い研究と出版を実践できます。
[01:26 – 03:27]
次に、「よくある研究倫理違反」についてみていきましょう。研究や出版についての倫理違反の主なものには、盗用・剽窃、二重出版、データの偽装と改ざん、著者資格の不正、利益相反などがあります。盗用・剽窃、および自己剽窃。盗用・剽窃とは他人の研究内容をしかるべき出展の明示なしに使用することで、自己剽窃とは自分がすでに発表した内容を、出展の明記なしに使用することです。同一論文の二重出版、および二重投稿とは、文字通り同じ内容の論文を二重に出版、投稿することです。データの偽装・改ざんはデータや記録を捏造したり、改ざんしたりした上で出版することです。著者資格の不正。著者資格については明確な規定があり、論文の著者となるには研究内容についての実質的な寄与や、論文の執筆・改定への関与、そのジャーナルへの投稿について他の共著者とともに賛成していること、論文内容について責任を持てることなどが必要とされます。こうした条件を満たした人物だけが著者に名を連ねることができ、それ以外の研究者を著者とするのは不正です。利益相反。資金提供を受けた場合の金銭的な利害関係、金銭に関わらない趣味や嗜好、宗教などにまつわる利害関係などが、科学的な公平性を損なうことは珍しくありません。
[03:27 – 05:16]
最後に、「研究倫理違反への対処法」についてお話しします。まず「訂正」です。論文内容の誤りは、どのような場合でも訂正しなければなりません。すでに出版されてしまっている場合はジャーナルの編集者にすみやかに連絡を取りましょう。次は「説明」です。もし不正とおぼしきことが持ち上がれば、その点を明確にし、論文に誤りが見つかった場合には迅速にその事実を認めましょう。
誤りではでない、という場合も誤解を解くための説明が必要です。また、論文の撤回も視野に入れておかなければなりません。データのエラーで意図せず不正確な結果を発表してしまったという場合でも、意図的に研究不正を行った場合と同様に、論文を撤回しなければならないことがあります。論文を撤回すれば、出版された論文の記録が抹消されるわけではありません。その論文は、撤回された理由とともに記録として残り続けます。一般的に言って、研究不正を理由として撤回された論文は、著者に対し、将来にわたってネガティブな影響を及ぼし続けます。ですから、研究者は論文を撤回するような状況に陥らないよう、研究倫理については十分に注意を払う必要があります。
[05:16 – 05:39]
今回は「研究倫理と出版倫理が重要な理由」について、そして研究者として気を付けるべき点についてお話ししました。次回もぜひ、ご覧ください。ありがとうございました。